フリーランスの訪問美容師として活動する大脇です。
今回は訪問美容師として開業する時にかかる費用はどれくらいかかるのか、僕自身の経験談をもとに解説していきたいと思います。
まず僕について簡単に書かせて頂くとこんな感じです。
10年ほどサロンワークをした後に個人で行う訪問美容師として開業。訪問美容を専門で行うお店として訪問美容サロンRingoを2017年9月にオープンさせる。開業時にかかった費用は約15万ほど。
今回の記事が訪問美容師として開業を考えてる方の参考になればと思います。
この記事はこんな方向けです
- 訪問美容師として独立したいけど開業資金がどれくらい必要か知りたい方
- 訪問美容師として開業する時にどんなものが必要なのか知りたい方
- なるべくコストをかけずに開業しようと考えてる方
美容室をオープンさせるのに比べてはるかにコストをおさえられる
まずはじめに訪問美容での開業は美容室を新しくオープンさせるのに比べて、はるかにコストを抑えて開業する事ができます。
美容室を新しくオープンさせるのには1000万前後必要と言われており、融資(借金)スタートでオープンさせるケースが多いです。
それに対して訪問美容は美容室で絶対的に払うべき下記の費用はかかりません。
- 家賃(事務所を別で契約する場合はかかります)
- 店舗改装費
- 水道、電気、ガスなどの光熱費
美容室を賃貸で新しく契約する時は、数ヶ月分の家賃をはじめに払うのでそれだけで数百万の初期費用が発生します。
また初期費用で一番かかる店舗改装費も訪問美容の開業時には発生しません。
さらに水道、電気、ガスなどの光熱費も基本出張先のコンセントやお湯を借りるので発生しません。
美容室のように店をかまえて待つ側でなく、訪問美容では自らが出向いてサービスを提供します。
なので比べるのがおかしいのかもしれませんが、訪問美容での開業は美容室を新しくオープンさせるのと比べてはるかに初期費用を抑える事が可能です。
ズバリ!開業資金の目安は20万前後
まず(訪問美容での開業時にかかる費用の)だいたいの目安をはじめにお伝えすると、20万ほどあれば必要最低限なものは揃えられるでしょう。(個人ベースで)
美容室でも開業費用が500万くらいで済む場合もあれば1500万かかる場合があるなど費用は様々なのと一緒です。
そしてそもそも論的な話をしてしまえば、訪問美容師として開業するだけでしたら基本費用は発生しません。(あくまでの話です)
美容師免許さえあれば訪問美容師として活動する事はでき、開業するだけでしたら税務署に行き用紙を提出すれば終わりですから。
ただ出張する市の保健所に出張美容の届け出を申請しなければ出張業務はできませんので、届け出を出す際に必要な器具類などは最低限揃える必要があります。
しかしそれでいざ訪問美容師としてスタートさせよう!という事にはならないですよね。
そこで実際に訪問美容師として開業するさいに必要なもの(コスト)を例にあげてみますのでご覧ください。
開業時にかかる必要なもの(コスト)の一例
僕自身の体験をもとに必要なものやかかった費用の目安を書いていきます。
あった方がいいもの(資格編) | 費用の目安 |
---|---|
訪問美容師(福祉美容師)の認定資格 | 3〜5万前後 |
介護初任者研修(旧ヘルパー2級) | 5〜10万前後 |
あった方がいいもの(器具類) | 費用の目安 |
---|---|
出張美容の届け出で提出する消毒器具類など | 〜1万前後 |
材料費(カラー剤やパーマ剤など) | 〜1万前後 |
用具(タオル、ドライヤー、カップやハケ、ロッドなど) | 〜2万前後 |
移動バッグやワゴン | 〜1万前後 |
移動式シャンプー台&椅子 | 5〜15万前後 |
車 |
あった方がいいもの(宣伝編) | 費用の目安 |
---|---|
チラシやパンフレット代 | 〜2万前後 |
名刺 | 〜2000円前後 |
ホームページ作成 | 1万〜5万(自作の場合) |
その他あったらいいもの | 費用の目安 |
---|---|
保険 | 〜1万前後(年間) |
経理・売上管理 | 〜1万前後(年間) |
ここからは各必要なものに関する説明を書いていきます。
必要なもの(資格編)
まずは資格について。
ただこれは開業時にというより開業する前に取得する事をおすすめします。
まずはここから訪問美容師としての道のりをスタートさせてみるイメージですね。
美容師資格があれば訪問美容師として開業もできますが、基礎的な知識を得るためにも資格や講習会には積極的に参加してみましょう。
福祉理美容師の認定資格・・〜3万前後
いろいろな地域で、様々な団体様が訪問美容に関する認定資格を取得できる講習会を開催してくれています。
福祉理美容師など名称は各団体で違いますが、だいたい3万前後くらいで取得できます。
認定資格がなくても訪問美容師として活動はできますが、訪問美容に関する基本的な知識を勉強でき、お客様への信頼度や安心度アップにも繋がりますので取得する事をおすすめします。
介護初任者研修(旧ヘルパー2級)・・5〜10万前後
以前はヘルパー2級という名称でしたが、介護初任者研修という名称に変わりました。
おもに介護の仕事をされる方が取得する資格ですが、訪問美容師として活動するなら最低限の介護知識は勉強するべきです。
美容室で働く世界とはまったくの別物であり、訪問美容では様々なケースを想定した知識と応用力が必要になってきます。
例でいうと
- ベッドへの移乗方法
- 認知症の方への対応
- 車椅子の基本操作
- 介護保険の基本的な知識 etc
また介護初任者研修を取得する事は自分だけでなく、利用者や施設側へ与える印象も変わってきます。
介護に関する知識や資格を有した美容師さんというだけで安心感が違いますし、訪問美容という仕事をする本気度や姿勢も伝わりやすいです。
介護初任者研修は各団体で受講費用が変わってきます。
安いところですと5万くらいで高くても10万くらいでしょうか。どの場所で受講しても介護初任者研修を修了する事はできますので、個人的には金額はあまり関係ないように思えます。
介護資格の取得に関しては下記の記事でも解説しています。
【訪問美容師】介護の資格は必要?決まりはないけどあった方が現場で役立つという話
必要なもの(用具編)
出張美容の届け出で提出する消毒器具類など・・〜1万前後
訪問美容で出張するには、事前に出張する市町村にある保健所へ行き、出張美容の届け出を提出しなければなりません。
届け出は紙に書くだけですが、その際に消毒器具類が完備しているかのチェックがあります。
美容室にも消毒器具類があるのと同じで訪問美容でも衛生管理として消毒器具類は必要になります。
ただその市町村の保健所によってやり方が変わってくるので、提出するものに関しては各保健所に電話し聞いてみるとスムーズに行えます。
材料費・・〜1万前後
実際に自分が提供するサービスに必要な材料を揃えます。
これは各自やり方が違ってくるかと思うので、事前にある程度在庫を揃える方もいれば、必要な材料を最低限ストックしておくなどやり方は様々です。
揃うべき材料の例としては
カラー剤、パーマ剤、シャンプー&トリートメント、スタイリング剤
などでしょうか。
提供するサービスによって必要なものも変わってきますので、各自の判断でコストも変わってくるかと思います。
用具・・〜1万前後
必要な用具の例としては下記の通り。(これも各自の判断でコストも変わってきます)
タオル、カットクロス、シャンプークロス、ドライヤー、カップ、ハケ、ロッドやペーパー、鏡etc
また個人的に訪問美容で役立つと感じたアイテムを下記の記事でも解説しています。
移動バッグやワゴン・・〜1万前後
出張する際に使用する移動バッグやワゴンです。
こちらも自分が扱いやすいアイテムであればなんでもいいです。
カバンに全部入るなら移動も楽ですし、ワゴンやスーツケースに入れて移動する方もいます。
自分がやりやすいアイテムを探して見つけましょう。
移動式シャンプー台&椅子・・5〜15万前後
カットだけを行う予定であればシャンプー台は必要ありませんが、カラーやパーマなどのメニューを展開していくとなればシャンプー台は必須です。
「移動式シャンプー台」や「ポータブルシャンプー」「訪問美容 シャンプー台」で検索するとシャンプー台がヒットしますので自分にあったシャンプー台を見つけましょう。
僕は上記のシャンプー台セットを10万くらいで購入しました。
訪問美容で使用するシャンプー台に関しては下記の記事で詳しく解説しています。
【訪問美容で使う移動式シャンプー台】4つの方法とやり方を紹介
車
出張する手段で必要になってくる車。
車なしでも出張は可能ですが、運ぶ荷物を考えると車で移動するのが一番無難でしょう。
原付で出張する話も聞いた事があるけど、カットのみじゃないときついかなと^^;
僕の場合ははじめはもともと持っていた自家用車(日産キューブ)で出張していましたが、途中軽バンを一括購入しました。
下記の記事で訪問美容で使用する車がなにがおすすめか解説しています。
訪問美容で使用する車は何がおすすめ?経験者がメリット・デメリットをもとに解説します
あったほうがいいもの(宣伝編)
続いて宣伝やマーケティングで必要なものをリストアップしていきます。
チラシやパンフレット・・〜2万前後
宣伝や営業する際に必ずチラシやパンフレットは必要になってきます。
チラシやパンフレットもつくる費用はバラバラですが、個人的におすすめなのがネット印刷会社のラクスルです。
用意されたテンプレートや素材を使って自分でデザインする必要がありますが、大量発注しても金額が恐ろしいほど安いです。(仕上がりもいいです!)
用紙の種類や印刷する部数で金額も変わってきますが、数千部でしたら一万もかからず発注できます。
僕がつくったチラシとパンフレットがこちらです。
下記の記事でも詳しくラクスルでの作成方法を解説しています。
美容室のチラシ・パンフレットを激安のネット会社ラクスルで作成してみての感想
名刺・・〜2000円前後
チラシとパンフレットの他にも必須なのが名刺。
いつどんな出会いがあるか分かりませんので、どんな時でもサッと交換できるよう名刺は必需品です。
こちらもさきほど同様ラクスルですと100枚程度で500〜1500円くらいで作成できます。
こちらが僕がつくった名刺ですが両面印刷で1200円くらいでした。(安い!)
詳しくは下記の記事でも解説しています。
美容師の個人名刺を激安のネット印刷・ラクスルでつくってみた。
ホームページ作成・・1万〜5万前後
訪問美容では営業しながら契約を増やしていくのが確実ですが、ホームページも並行して力を入れていく事を強くおすすめします。
なぜならホームページがしっかりつくりこまれていれば自分が営業しなくても勝手に宣伝してくれるからです。
またホームページを見てお問い合わせに繋がる可能性も高いですし、見て頂いた方にさらに興味を持ってもらう可能性だってあります。
僕自身恥ずかしながら営業が大の苦手でしたので、営業は全く行わずホームページとブログでこつこつと集客をしました。
ホームページに関してはプロの業者に作成してもらう方法もありますが、今では自作でもしっかりとしたホームページはつくれる時代です。
プロの業者に作成してもらうとなると10〜30万前後はしますが、自前でドメインとサーバーを契約し、ホームページを作成すれば1〜5万前後で作成する事もできます。
詳しくここでは書きませんが、ホームページやブログはワードプレスで作成する事をおすすめします。
ワードプレスでホームページを作成するにあたりかかるコストがこちら。
- ドメインとサーバーの年間コスト・・約1万〜1万5千円前後
- ワードプレスのテーマ代・・無料〜3万前後
テーマとは簡単に書くとサイトのデザインを決める外観になり、無料のテーマと有料のテーマがあります。おしゃれなホームページを簡単に作成するなら有料テーマを購入するのが一番てっとり早いです。
下記の記事にてホームページ作成の方法を解説していますので興味のある方はご覧ください。
【美容室ホームページづくり】ワードプレスとwixを比較してみる
また僕自身が行ったブログ集客の方法については下記の記事で解説しています。
営業や広告費0!訪問美容の集客はブログのみという驚くべき方法とは?
その他あったらいいと思うもの
保険・・〜1万前後(年間)
訪問美容を活動していく上でなにか事故や怪我などあった時のために入っておきたい保険。
あまり種類はないですが、年間1万くらいあれば保険に入る事ができます。
有名どこでいくとビューティガレージのサロン保険netが訪問美容でも適用され、漏水などの特約をつけても年間7000円くらい。
あとは地域にある美容組合に加入しているのであれば年間数百円で加入できます。
みんなのサロンほけん | 全美連の美容保険 | |
---|---|---|
保険料(年間) | 10000円〜 | 各地域の組合の費用にプラス1600円 |
条件 | 誰でも加入できる | 美容組合加入者のみ |
引受け保険会社 | 損害保険ジャパン株式会社 埼玉中央支店法人支社 | 損害保険ジャパン日本興亜株式会社 |
更新期間 | 1年 | 各地域の美容組合に要問い合わせ |
HP | HPはこちらから | HPはこちらから |
保険について詳しくは下記の記事で解説しています。
訪問美容師でも保険加入できる?入っておきたい保険一覧と、適用されるものを分かりやすく解説
また移動手段で車を使用する場合は個人で必ず車両保険に入っておきましょう。
経理・売上管理・・1万前後(年間)
経理や売上を管理する上で、簿記の知識がある方は自分で全てできますが、ほとんどの方が簿記の知識などないと思います。
一定の売上が発生すると確定申告が必要になり、税金をおさめる義務が発生します。
また節税対策として、開業時に青色申請をするかと思いますが、これがけっこうややこしかったりします。
今では簿記の知識がなくても、普段の経理や売上管理、確定申告から青色申告まで素人でも簡単にできるクラウドサービスがたくさん出てきています。
それがだいたい年間約1万前後。
専属の税理士さんをつけると年間安くても10万前後はしますから、クラウドサービスを使い管理させる事をおすすめします。
僕自身はfreeeというクラウド会計ソフトを使用してますが、正直めちゃくちゃ簡単です。
下記の記事でもfreeeについて解説していますので興味のある方はご覧ください。
【freee】個人事業主の確定申告や経理を100倍かんたんにする会計ソフトを導入
【フリーランス美容師の確定申告】青色申告がわずか3分で終わった話
また余談ですが顧客管理としてはLIMEというスマホアプリで全て管理しています。
フリーランスの美容師さんからたくさん愛用されているアプリですが、登録など済ませれば無料で使用できます。
開業コストを少しでもおさえるには
ここまで開業時に必要なものを、おおまかなコストとともにリストアップさせて頂きました。
では開業時にかかるコストを少しでも抑えるにはどうすればいいのでしょうか。
まずは僕が思う「訪問美容師として開業する上での流れ」としては下記の通り。
- 訪問美容師としての認定資格を取得できる講習会へ参加
- 介護資格を取得
- 訪問美容師として活動するイメージができたら提供するサービスやコンセプトを念入りに考える
- サービスを提供する上で必要な機材や材料をリストアップする
といった流れが無難かと思います。
多少流れは前後する場合もありますが、まずは訪問美容師として働く上での必要最低限な知識やイメージを得るためにも、講習会や資格の取得は絶対的にやっておいた方がいいです。
そしてそこから開業に向けての道のりを進んでいくイメージです。
少しでも開業時のコストを抑えたいのなら、自分が提供するサービスに必要なものを逆算しながらリストアップし、徐々に揃えていく事。
今では個人単位でも材料を発注できるビューティーガレージや美通販などありますので、その都度必要な材料を揃えてみてもいいかもしれません。(余分な在庫をもたないという意味でも)
訪問美容師としての開業時に行った事は下記の記事でも解説しています。
訪問美容の開業・独立をするための準備で現役美容師が行った5つの事
僕の経験談:開業資金は15万でした
最後に僕自身の経験談を書かせて頂くと、僕が訪問美容師として開業する時にかかった初期費用は15万ほどでした。
内訳は下記の通り。
- 登録や届け出は費用は一切なし(消毒器具のみ購入)・・約1万
- チラシやパンフレット代(1万5000円くらい)
- 名刺・・・100枚で1000円くらい
- ホームページ・・・サーバーはもともと個人で契約しているのあるため基本なし(サイトのテーマだけ1万程で購入)
- 移動式シャンプー台&椅子・・・10万弱
- 材料費・・・タオルやカラー剤やパーマ剤を必要最低限購入(約2万)
合計で15万6000円くらいでしょうか。
思ったより安いと思われる方が多いと思いますが、ドライヤーやアイロン、その他用具類はもともとサロンワーク時代に自分のものを使用していました。(業務委託契約だったため)
ホームページをつくる上で必要なサーバーも、もともとブログ運営する関係で契約してましたのでかかりませんでした。
また福祉理美容師と介護初任者研修に関しては訪問美容師として開業する前に取得しておりました。(当時はサロンワークと並行しながら取得しました)
開業時に一番費用がかかったのはシャンプー台。
その他は必要最低限にまとめ、随時自分で働きながらこんなものがあったらいいと思うものを増やしていった感じです。
はじめに揃えるのもいいかと思いますが、実際に自分が訪問美容師として働くと新しい発見がたくさんあります。
それこそ美容室ではまず使わないものが訪問美容では活躍したり、自己流で新しいアイテムを考えてみたり。
以上、訪問美容の開業時にかかる必要なもの(コスト)をリストアップさせて頂きました。
少しでも誰かの役に立つ記事となれば嬉しく思います。